イベント・セミナー

2016年08月31日

第4期Active Work Place研究会第3回を開催しました!

8月26日、Active Work Place研究会の第3回例会を開催いたしました。前回から約2カ月空けての開催となりましたが、メンバーの皆さんには、その間二つの「宿題」(実践課題)を頑張って実施いただきました。当日の課題発表では、各社様、「ストレスチェックをどのように有効活用したら良いか?」というポイントに注目が集まっていました。本研究会に限らず、この先数年の間は、ストレスチェックの有効活用について話題が集中しそうです。当日は、東京大学大学院准教授の島津明人先生より、各社様のストレスチェック活用方法への疑問にコメント・アドバイスいただきました。また、次回の研究会で改めて、このテーマについて講義をいただくことになりました。午後は、甲南大学教授の北居明先生をお招きし、「AIを用いた組織開発」というテーマで、講義とワークショップを実施いただきました。参加者の皆さんからは、「同じ状況でも、やり方を変えるだけで全然違う答えが出てくるのですね」という気づきの言葉もありました。

ストレスチェックがいかに職場のマネジメントと結びついているかを見せることが大切です(東京大学大学院准教授 島津明人先生)

午前中は、2つの実践課題の発表をいただきました。1つ目は、前回の合宿の際に全員でリストアップした「健康いきいき職場資源」を元に、各社でどこに力を入れて資源を増やす取組を行うか?について、考えて来ていただきました。力を入れたい施策として挙げられたのは、「ほめる活動を日常的にしたい」、「定時退社(残業対策)を根付かせたい」などがありましたが、参加企業全員から挙げられたのは「ストレスチェックの有効活用について」でした。

既に、前回の資源リストアップの段階から、ストレスチェック制度は職場資源である、という認識は皆さんおありでしたが、それを「健康いきいき職場づくり」のために活用するためにはまだ様々なハードルがあるようです。参加者の皆さんからの声として、「職場の部門長によって熱心な人とそうでない人の温度差が大きい」、「職場環境改善をしても効果のない職場がある」、「実施直後は意識が高まるが継続しない」などなど、現実的な話が多く挙げられました。これらの問題には、一つひとつ、丁寧に対応していくことが大切ですが、考え方としては、ストレスチェックの結果がいかに職場のマネジメントに結びついているか、職場のマネジメントを向上させるために活用できるか、というポイントです。これらを訴求することで、ストレスチェックを健康管理あるいはコンプライアンスのためだけに実施するものとしてではなく、現場の仕事(本業)を回す際の一つの情報源として活用してもらうことができ、現場管理職の意識を向けることができます。

 

もう一つの課題は、組織アセスメント結果を用いて各社の「健康いきいき」状況を分析していただくものでした。こちらは、やはり今年度実施されているストレスチェックの結果を持ち寄っていただいた企業様が多かったです。島津先生からは、単純に集計された結果を見るだけでなく、要因と要因を掛け合わせたクロス集計を行ったり、相関を見たりできるとよりその職場の状況が見えてくるので、ぜひどなたかそうしたことができる人がいると良い、というコメントをいただきました。それが可能になれば、職場で起きていることがより見える化でき、その職場の実情に応じて採る対策を変えていくことができます。今回のストレスチェック制度を契機に、分析について学ぶことができれば、職場へのフィードバックの内容も、職場が興味を持つものに変えて行けるかもしれませんね。

実践課題の発表を踏まえて、島津先生より次回、職場アセスメントの活用方法について、参加者の皆さんのニーズに応じた内容でご講義をいただくことになりました。

 

重要なのは、「問題をなくす」ことではなく、「問題を自分のこととし、取り組む」組織づくりです(甲南大学教授 北居明先生)

午後は4時間ほどを掛けて、甲南大学教授の北居明先生より「AI(Appreciative Inquiry)を用いた組織開発」というテーマで、講義とワークショップを実施いただきました。北居先生からは、最初に組織開発とは何か?についての講義と共に、その中でもAIの位置づけについて解説がありました。組織開発とは、「組織のパフォーマンスを上げ、組織目標を達成するために必要な組織を戦略的に作り上げる活動」(守島2014)です。中でも、いわゆる問題解決手法を使い、組織を分析して診断する「診断型組織開発」と、組織内の人々に新たな行動や思考に気づかせることで組織を良い方向に持っていく「対話型組織開発」があり、AIは後者の一つです。二つの手法の成功率は同じと言われており、ただ後者の方が成否を知るまでの時間が短いため、メリットがあるとされています。

AIの最大の特徴は、問題を定義する際の「問い」自体をポジティブなものに変化させることで、その組織の「強み」を発見し、変化を促すという点です。例えば、問題解決型組織開発の場合、その「問い」とは、「離職率が高いのはなぜか?」となります。一方でAIの場合は、「従業員にとって、最高に魅力を感じる働きがいのある職場を作るには?」という問いになります。同じ事象を前にしても、こうして問いを変えることで、受ける印象が変わり、対応方法が変わることがわかります。

参加者の皆さんには、こうしたAIのポイントを学んでいただき、実際にこうしたポジティブな問いによるペアインタビュー、グループワークを体験していただきました。ストレスチェック後の職場環境改善を実施する際も、単純に「高ストレス職場を改善するには?」という問いかけではなく、問いをポジティブなものに変えていくことで、職場のメンバーの取り組み方が変わってくるかもしれません。ぜひこのような考え方を参考に、健康いきいき職場づくりに取り組んでいただければと思います。

  

 

次回は、早くも講義・ワークで学ぶ時間の最終回です。
1カ月後をまた楽しみにしております!


   

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