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2015年01月07日

2014年 成果発表シンポジウムサマリー公開

2014年12月18日、「健康いきいき職場づくりフォーラム」成果発表シンポジウムが、東京大学内伊藤謝恩ホールで開催され、企業組織の人事担当者・健康管理担当者、労働組合役員、EAP、コンサルティングファームなど、約230名(関係者含まず)のご参加をいただいた。

今回は、設立から数えて3回目のシンポジウムであった。テーマを、「国際潮流への視座と日本版Healthy Workplaceとは」とし、初めて海外からゲストを招いての開催となった。

基調講演として、世界保健機関(WHO)より、仕事と健康部門技術専門官であるエヴェリン・コルトム博士を招聘し、「働く人の健康を21世紀の視点から考える A worker health perspective of 21st century」と題して講演いただいた。本基調講演の座長には、国際産業保健学会会長の小木和孝氏に就任いただいた。コルトム氏からは、世界的な視点から、特に心理社会的ハザードが起因する健康障害(メンタルに限らず)について、発展途上国での問題について、また職場での心理社会的リスクとその管理方法について、データを多く用いた情報提供が行われた。健康な職場作りにイニシアチブを取るのは、一つにはトップの覚悟や関心であり、そして同様に重要なのは職場を一番よく知っている労働者の参加であるとのコメントもいただいた。


 続いて、川上憲人氏(東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野教授)より、基調講演の解説として、「健康いきいき職場づくりとWHOの健康職場モデル これからの日本型モデルのあり方を考える」と題して講演いただいた。川上氏からは、健康いきいき職場づくりフォーラム2年目の活動報告、201512月より施行される改正労働安全衛生法(ストレスチェックの義務化)と健康いきいき職場づくりについて、また、WHOの健康職場(Healthy Workplace)の定義と、それに適う形での日本版「健康いきいき職場づくり」の進め方(ガイドライン)について紹介された。特に、ストレスチェックの義務化については、法律で定められたことをただ実施するだけでは何ら効果を望めないこと、本来一次予防のための対策であることから職場環境改善のために活用することが望ましいこと、ゆえに健康いきいき職場づくりの一環として実施できることなどが伝えられた。また、健康いきいき職場づくりは次の活動ステップとして、「健康経営」等関連活動との連携、具体的なソリューションプログラムのサービス提供の強化、国への働きかけの強化などが伝えられた。

その後、企業経営者講演として、古森明氏(SCSK株式会社上席執行役員人事グループ長)より、「働きやすい、やりがいのある会社を目指して」と題して講演いただいた。古森氏からは、現在同社が積極的に推進する「働き方改革」(主にワークライフバランスの推進、労働時間の改革)についての具体的取組内容が、数値化された成果と共に紹介された。同社の取組で特筆できることは、経営トップの強い意志によって、役員陣を含めて徹底的に長時間労働の是正を行ったこと、そして、その時間短縮に反比例する形で営業利益が向上していることであった。また、時期を同じくして、社員満足度調査の数値も向上している。昨今、企業経営の面からますます注目される長時間労働の削減、ワークライフバランスの推進、また女性社員の活用などについて、それらが経営効果を上げることにつながることが具体的に紹介され、こうした活動を健康いきいき職場づくりに含めて推進しようとする経営者、担当者にとって良い機会となった。

本シンポジウムの後半は、今年度初めて実施された、「健康いきいき職場認証制度 スターター認証制度」の認定証授与式を執り行った。今年度は認証第一号として、
6組織の認証を行った。授与式では、島津明人氏(東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野准教授)より全体の講評をいただいた。島津氏からは、認証組織の特徴として、5つの組織が製造業、また5つの組織が会社単位の申請であったが、事業場単位での申請も1組織あったこと、また4つの組織は従業員規模が1000人以上の大企業であったが、2つの組織は数百名単位だったことが報告された。いずれにしても、できることから取り組んでいること、組織の強みを伸ばす取組をしていることから認証に至ったことが伝えられた。また、来年度以降は、製造業以外の業種から、あるいは中堅中小企業からの申請も期待したいとの言があった。

最後に、認証6組織の代表者より、申請理由や内容、認証の活用方法について、それぞれスピーチをいただき、認定証授与式、ならびに本シンポジウムは盛会のうちに終了した。


当日資料(一部)


成果発表シンポジウム2014の講演資料のうち、基調講演、およびその解説については、以下よりダウンロードいただけます。

基調講演資料WHO エヴェリン・コルトム博士)

基調講演解説資料(東京大学 川上憲人教授

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