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2020年06月05日

「第2回新型コロナウイルス緊急対応セミナー」サマリーをアップしました!

2020年6月3日(水)、「新型コロナウイルス緊急対応セミナー」(全5回開催予定)を開催いたしました。同セミナーは、第1回に引き続きオンラインセミナーとして実施され、約50名もの方々にご参加いただきました。第2回となる今回は、『“マネジメント”と“心身の健康”からのアプローチ』をテーマに据えて行われました。学識者および企業担当者による講演や質疑応答では、多様な観点から新型コロナウイルスへの対応方法と今後の新しい働き方に関する問題提起がなされました。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、多くの企業においてテレワークなどの新しい働き方への移行が進んでいます。ここ数か月間の急激な働き方の変化が、従業員や組織に大きな影響を与えていることは言うまでもありません。そこで、それらの変化への対応策や“健康いきいき”につながる今後の新しい働き方について模索する場として、当フォーラムでは、新型コロナウイルス緊急対応セミナーを全5回(予定)のシリーズとして開催することといたしました。

 第2回となる今回は、新型コロナウイルスの影響下における、『“マネジメント”と“心身の健康”からのアプローチ』をテーマに据えて開催いたしました。

 
 
冒頭、九州大学大学院人間環境学研究院准教授 池田 浩氏より、『マネジメント面からの論考~テレワーク下でのチームビルディング』と題してご講演いただきました。
 
「テレワーク」という新しい働き方への移行に伴い、チームとしてどのようにしていきいきと働き、生産性を上げるかを考え直す必要があると問題提起していただきました。

 それらの問題を考えるにあたっては「バーチャリティー(仮想性)」の程度が鍵となる点をご指摘いただきました。バーチャリティーの程度は、同じ空間を職場として共有するメンバーの数や、オンラインツールなどのテクノロジーの導入度合いなどによって変わるとのことです。バーチャリティーの高いテレワーク環境では、リーダーによる意識的なマネジメントや、お互いの信頼関係に基づいた心理的安全性の構築が求められるとご提言いただきました。

 
さらに、バーチャリティーの程度によって望ましいリーダーシップの在り方が異なり、バーチャリティーが高いほど、「変革型リーダーシップ」を発揮することが困難となる傾向にあり、さまざまなサポートの有効性が高まることをご紹介いただきました。リーダーによる「管理」ではなくメンバーへの「期待・信頼」によって動機づけする「サーバント・リーダーシップ」や、チームとして目指すべきもの、いわば“共に見るもの”の共有が重要であるとして話を結ばれました。


 
続いて、東京大学医学部附属病院22世紀医療センター特任教授 松平 浩氏より、『フィジカル面からの論考~テレワーク中にこそやりたい「いきいき健康エクササイズ」』と題してご講演いただきました。

 
冒頭に、腰痛や肩こりによる経済損失および生産性低下や、正しい姿勢を保つことによるレジリエンス向上の効果などの最新研究の知見をご紹介いただきました。さらに、“炎症負債”というキーワードを挙げ、運動不足による不活性の状態が生活習慣病などの疾病の発症に影響していることをご説明いただきました。疾病予防のためには、1日8000歩という活動量を維持することが望ましく、食事・栄養や瞑想・マインドフルネス等によってコンディションを整えることも重要だそうです。
 テレワーク環境下での身体活動の維持に役立つ方法として、松平先生考案の身体活動を促すストレッチについて、実践を交えながら数多くご紹介いただきました(
これだけ体操美ポジ体操腰痛さよなら音頭)。
 加えて、ストレッチなどの健康増進のための取り組みを企業で導入する際には、「ナッジ(nudge)」を意識すべきであるとご提言いただきました。例えば、ストレッチを紹介するポスターを多くの従業員が立ち止まって目にする場所に貼り付けるといった工夫を通して、行動変容を促すことが重要だとご指摘いただきました。



 
続いて、東京大学大学院医学系研究科客員研究員 関屋裕希氏より、『メンタル面からの論考~マインドフルネスを通じて、「今、ここ」に集中する』と題してご講演いただきました。

 
Withコロナの働き方を考えるにあたって重要な視点として、第一に、コミュニケーションや休憩・気分転換などの「オフィス」という場にあった機能を、どのようにしてテレワーク下で置き換えるかが重要であるとご指摘いただきました。第二に、業務だけでなく自身の健康という観点からも「自律」の重要性が高まるとし、自分で自身の不調のサインに気づき、上司に発信し、必要に応じてサポートを要請するようなことが求められるだろうとご提言いただきました。
 
それらを踏まえた今後の対応策として、①心理的安全性の高い職場環境を構築すること、②自律を育てるマネジメントを行うこと、③心理的柔軟性を高めることの3点が重要であるとご指摘いただきました。
 
なかでも、心理的柔軟性およびマインドフルネスを身に付けることによって、社会や環境の変化に応じて行動を変えることができるようになるとご提言いただきました。マインドフルネスが大きく注目されるようになった背景やマインドフルネスが持つさまざまな効果についてお話しいただいた上で、マインドフルネス・トレーニングの一つである呼吸に注意を向ける「3分間呼吸法」について実践形式でご紹介いただきました。


 
最後に、日本生活協同組合連合会通販本部本部長の奈良恵子氏より、組織での取り組み事例について、新型コロナウイルス流行による従業員への影響や、課題に対して講じている対応策を中心にご紹介いただきました。

 
まず、新型コロナウイルス流行が従業員に及ぼした影響として、①テレワーク化により人とのコミュニケーションの機会が減少した職員における心の不調や、②腰痛・肩こり・眼精疲労といった身体の不調、③仕事と家庭との切り替えの困難さ、④マネジメントの困難さの4点を挙げていただきました。それらの課題に対して、同組織では、①オンラインツールを用いた雑談やランチ会などのコミュニケーション機会の設定、②在宅時のストレッチやヨガなどの提案、③働き方における「自律と寛容」の姿勢の共有、④オンラインツールの積極的な活用などを行ったことを共有していただきました。
 さらに、組織内ではテレワーク化に伴う良い影響も認められたとし、通勤時間の削減および有効活用や、集中的かつ効率的な働き方の実現、電子化の実現などが可能になったことを挙げていただきました。



 
その後、チャット機能を用いた質疑応答の時間では、活発な意見交換がなされました。

 
「“管理”と“監視”の境界線」についての質問に対しては、池田先生より「進捗などの共有だけでなくサポートするための仕組みがあると良い。さらにメールだけでなく(オンライン上で)対面で会話を交わす機会を持つことで、信頼関係構築につながりやすい」とご回答いただきました。

 
「ストレッチなどを社内で導入した際に継続して取り組むための工夫」についての質問に対しては、松平先生より「ナッジの考え方が重要。会議の前後や昼休みなどの時間を使ってみんなで取り組むなど、何かと組み合わせて行うと継続しやすい」とご回答いただきました。

 
「マインドフルネスに関する取り組みを社内で導入するにあたっての注意ポイント」に関する質問に対しては、関屋先生より「継続することのできる“機会”をどのように提供するかが重要であり、無料のアプリケーションやツールも役立つ。また、メンタルヘルスの問題に興味・関心がない人に対しては、注意力・集中力向上などの効果を紹介するなどの動機づけも有効」とご回答いただきました。

 
「入社直後に在宅勤務となった新入社員に対する指導方法の工夫」についての質問に対しては、奈良様より「創意工夫をしながら取り組んでいる状況である。オンラインツールのメリットを最大限活用しながら、丁寧にフォローをすることで進めている」とご回答いただきました。


 
最後に、健康いきいき職場づくりフォーラム事務局より、開催を予定している第3回および定例セミナーについてご案内し、盛況のうちにセミナーは閉会いたしました。

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