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2021年02月17日

2021年2月4日開催 特別シンポジウム「ポストコロナにおける健康いきいき職場づくりの新たな意義」サマリーをアップしました!

2021年2月4日(木)、「ポストコロナにおける健康いきいき職場づくりの新たな意義 ~自律・分散・協働型職場に向けて~」を開催いたしました。本シンポジウムはオンラインセミナーとして実施され、260名もの方々にご参加いただきました。今回は、ポストコロナでより重要性が増す「健康いきいき職場づくり」に関して「自律・分散・協働」をキーワードに、経営・組織開発・組織変革・産業保健・人事といった多様な観点から、学識者および企業での実践者がこれからの働き方や職場、健康について論じました。
 冒頭、東京大学医学系研究科川上憲人先生より、ご挨拶をいただきました。
 新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況についてご解説いただいたうえで、「健康いきいき職場づくりを実現するためには新たな方法論が必要になってきている」とし、本日のシンポジウムでは「企業側から学識経験者まで幅広い立場の方々が登壇する。有意義なものになるだろう」とご挨拶いただきました。

学習院大学 経済学部 教授 守島基博 氏
「ニューノーマル時代の組織と人」

 新型コロナウイルス感染拡大により、社員の働き方と組織の在り方が急激に変わったことに触れ、これを契機に「これからはさらに組織やマネジメントの在り方が変わっていくだろう」とご提言いただきました。
 働き方の変化を受け、組織はよりバーチャルに/フラットになり、「自律・分散・協働型の組織」へ変化していくことが見込まれるとのことです。同時に、階層や監視による"コントロール"から、"コミュニケーション"や"コーディネーション"へとマネジメント概念が変化するだろうとご解説いただきました。
 今後は、①新たな組織運営(マネジメント)の支援、②人事システムの改革、③個を尊重する施策、④リーダーシップの変革が求められるとお話しいただきました。

株式会社富士通ゼネラル CSO&CHO 斎藤悦郎 氏
「ゼロから始めた健康経営 ~明るく、元気に…きっと良くなる~」

 経営危機の状況から業務改善したものの、社内では閉塞感が長く続いていたことから、いきいきとした職場づくりのための企業文化の変革を決意したと経緯をお話しいただきました。
 健康経営を推進するにあたっては、第一に、"人を思い活かす経営"を土台とした、①意識改革、②業務改革、③インフラ整備の三位一体の企業風土改革となるように取り組んだとのことです。さらに、全従業員を巻き込みながら"共に未来を生きる"という企業理念の再設定を行ったそうです。2017年には富士通ゼネラルグループ健康宣言を行い、「社員一人ひとりは、家族・社会・会社にとって、かけがえのない存在であること」などのメッセージを全社員へ発信したとのことです。
 そのほか、健康デザインセンター設立やこれらの健康経営の取り組みの成果などについてもご紹介いただきました。
 今後は、「健康経営2.0」として、健康経営を社員のWell-being実現まで進化させていくよう取り組んでいきたいとお話しいただきました。

株式会社ニトリホールディングス 理事・組織開発室室長 永島寛之 氏
「パンデミックで再確認した個人と組織の関係性」

 まず、人事担当者は「言語化と繋ぎ込み」の役割を担っているとご提言いただきました。さらに、コロナ禍を受け、組織における技術的問題(在宅勤務、ジョブ型雇用)に関する議論が増えたことに触れながら、何が本質的な課題であるのかに着目することがあらためて重要であるとお話しいただきました。
 次に、パンデミックにより、組織のレジリエンス(しなやかな強さ)の重要性が再確認されたとご提言いただきました。
 組織のレジリエンスの構成要素は、①生産性を考えた組織づくり、②自律した個人が活躍する組織、③テクノロジーで個人と組織を繋ぐ、に大別されるとし、それぞれについてご解説いただきました。

埼玉大学 経済経営系大学院 准教授 宇田川元一 氏
「企業変革の推進のための対話」

 企業変革の推進に重要なのが「対話」であるとし、第一に、目の前にある問題が"技術的問題"であるのか、"適応課題"であるのかの切り分けを行うことが求められるとのことです。その次に、①準備、②観察、③解釈、④介入の順で対話のプロセスを進めていくというように整理できるそうです。
 私たちの社会は今、「緩やかに確実に変化している時代」であると言え、忙しなく物事が過ぎていくなかで大事なことが後回しになりやすく、現状に対して巨大な不安があるとは言い難いとご解説いただきました。
 多くの組織においては、ゆっくりと悪化していく「組織の慢性疾患」に悩んでいると整理することができるとし、「小さな変革を積み重ねる」ことが重要であるとご提言いただきました。

産業医科大学 産業生態科学研究所 教授 江口尚 氏
「"自律・分散・協働"を進めるための組織づくり」

 雇用形態や国籍など多様化(モザイク化)する職場においては、個々人によって「何がみえているか」が異なることに留意すべきであるとご提言いただきました。その際には、対話・コミュニケーションが重要であるとし、「暗黙の前提」を前提としない、意識的な対策が求められるとのことです。個人も組織も「意識的に」職場に関わることが重要であること(ソーシャル・キャピタル)、経営理念の"内容"がその"浸透度"や仕事のアウトカムに影響を及ぼすことについてもご解説いただきました。
 さらに、コロナ禍での職場におけるストレス対策としては、職場内のストレス要因を把握し、言語化して健全なかたちで顕在化させることが重要であるとお話しいただきました。 
 コロナ禍を契機として、一人ひとりが安心・安全な職場を作るのに何ができるかを今一度考えることができれば、より良い方向に進むことができるのではないかとご提言いただきました。

パネルディスカッション

 「コロナ禍での健康経営の取り組み」については、富士通ゼネラル斎藤社長より「制限があるなかで実施している。人と人とのつながりが重要な取り組みであった場合には、人数を絞って対面で行うなど、うまくオンラインと対面を組み合わせて進めている。停滞せず、少しでもやってみることが大事だと考えている」とお話しいただきました。

 「コロナ禍での"対話"」については、宇田川先生より「Zoomなどのオンラインツールでは、相手の話をしっかり聞くモードになりやすくメリットもある。一方で、目的性が明確なコミュニケーションに偏ってしまいがちであることを意識する必要がある」とお話しいただきました。

 「産業保健の視点から見たコロナ禍でのコミュニケーション」については、江口先生より「忙しい上司はコミュニケーションを"はしょってしまう"ケースがある。メンタルヘルス不調者とのオンライン面談を行う場合にも、慣れないうちは以前より短時間になってしまうことがあった。視覚的情報が失われやすい」とお話しいただきました。守島先生より「"情報の交換"はあるものの"感情の交換"がされなくなってきたとも言える」とお話しいただきました。

 「コロナ禍による組織に関する気づき」については、ニトリ永島様より「マネージャーに対してマネジメントスキルを明確に教えてなかったことに気付いた。オンライン研修などを実施する場合においても、必要なものだけに限られたフラットなやり取りになってしまうようになった」とお話しいただきました。

 最後に、守島先生より「何よりも地道に組織を運営していくこと。これまで大切にしてきたことをこれからのも大切にしていくことが重要である」とご提言いただき、盛況のうちに閉会しました。

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