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2021年05月25日

2021年5月14日開催 定例セミナー「コロナ禍一年~健康いきいき職場づくりの現在地と今後~」サマリーをアップしました!

2021年5月14日(金)、定例セミナー「コロナ禍一年~健康いきいき職場づくりの現在地と今後~」を開催しました。本セミナーはオンラインで実施され、約35名の方々にご参加いただきました。
今回は、コロナ禍が始まった昨春からの約1年間を振返り、今後の健康いきいき職場づくりの方向性を明らかにすることを目的として行われました。専門家と企業担当者による講演やディスカッションを通して、産業保健、身体面の健康、働き方やマネジメントといった観点から健康いきいき職場づくりについて検討しました。

東京大学大学院 医学系研究科 教授 川上憲人 氏
「コロナ禍一年 ~健康いきいき職場づくりの現在地と今後~」

 コロナ禍でのテレワークが労働者の精神健康に与える影響について「一貫した研究結果は得られていない」としながらも、「職場とのコミュニケーションの低下やテレワークの環境、孤立・孤独」などが関連要因として挙げられることをご紹介いただきました。
 コロナ禍における職場のメンタルヘルスケアでは、(1)第一次予防のための研修等の実施しにくさ、(2)不調例の早期発見・対応の難しさ、(3)職場復帰支援のフォローアップの難しさなどが課題として指摘されているそうです。
 コロナ禍においても、オンラインツールを活用しながら基本的なメンタルヘルスケアを継続することが重要であるとし、それと同時に、Withコロナ時代だからこそポジティブメンタルヘルスの推進が強く求められるとご提言いただきました。

東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 特任教授 松平浩 氏 
「テレワーク拡大を踏まえた課題と対策」

 冒頭、コロナ禍によるテレワーク拡大や運動量減少、ストレス増加が痛みの悪化につながっているという研究結果をご解説いただきました。
 なかでも、首や肩、腰の痛みやこりの症状が悪化した人が多いことが明らかにされたとし、それらの痛みへの対策として、松平先生ご考案の体操を実践しながらご紹介いただきました。
 ・肩こり"これだけ体操"はこちら 
 ・腰痛"これだけ体操"はこちら
 ・転倒腰痛予防!いきいき健康体操はこちら
 そのほか、座位における姿勢や歩行姿勢、食(栄養)、睡眠の重要性についても研究結果を踏まえてご解説いただきました。

東京都立大学 経済経営学部 教授 高尾義明 氏
「働き方の変容を考える ~ジョブ・クラフティングを起点にして~」

 働き方改革の推進とコロナ禍への対策が合わさったことで、自律的な働き方への期待がより高まっているとし、その一方で、コミュニケーションの希薄化といった課題が生じていることをご指摘いただきました。
 そのような現状を踏まえて、組織としては「変化に対応したマネジメント力の強化」、個人としては「働きがいのセルフ・プロデュース力の向上」が求められるとご提言いただきました。
 それらの変化への対応にあたっては「ジョブ・クラフティング」(決められた仕事を自分なりの手触り感のある仕事へ)の考え方がヒントになることをご解説いただきました。

東芝ライテック株式会社 総務部 健康経営推進担当 担当部長 大草祥一 氏
「コロナ禍の中での東芝ライテックの健康経営」

 昨春からの1年間で生じたさまざまな変化について、メリット・デメリットを振返った上で、「Web会議での自己紹介の必須化」や「ランチライムの食育セミナー開催」、「ウォーキングイベント」など、社内で多種多様な取り組みを展開されたことをご紹介いただきました。
 取り組みを検討するにあたっては、(1)リモートでできること、(2)場所を選ばず一人でできるが皆でやっている感覚が持てること、の2点を前提としたとのことです。
 さらに、Afterコロナにおいて、元に戻るであろうこと、このまま続くであろうことを見定めながら、企業として取り組むべきことを整理されていることをお話いただきました。

質疑応答

 質疑応答では、参加者の皆様からいただいたご質問をもとに、活発な議論が行われました。

 「健康増進に関する取り組みの定着・習慣化のコツ」については、松平先生より「難しい問題だが、"ナッジ"を意識することも一つのアイデアで、"コンテンツ力"と"仕掛け力"の両方が大事。"ポピュレーションアプローチの個別化"を考えることがヒントになる」とご回答いただきました。

 また「健康経営の企業担当者のご苦労」について、大草様より「健康経営に関するe-ラーニングを展開したが、従業員の反応としてはポジティブなものばかりではなかった。多くの従業員が関心を持って見てくれたのだと気持ちを切り替えながら進めている」とお話しいただきました。

 「オンラインツールの活用例」については、川上先生より「オンラインツールで研修を実施する例のほか、コミュニケーションツールとして利用している例の2種類がある。どちらも何か仕掛けがなければ盛り上がりに欠ける印象がある」とご回答いただきました。

 「現下の状況をポジティブな契機にするためには」という質問について、高尾先生より「変化への対応を積み重ねていくことが重要。これまで学んだことをいったん脇に置く、"アンラーニング"が鍵となる」とご回答いただきました。

グループでの意見交換

 その後、ブレイクアウトルーム機能を用いて、グループでの意見交換を行いました。
  グループワークでは、メンタルヘルスから身体健康、組織の在り方の変化、企業内で健康増進の取り組みを推進する難しさなど、さまざまな視点からご参加の皆様それぞれのご経験やお考えを共有いただきました。


  最後に事務局より、次回の定例セミナー(健康いきいき職場づくり 最新実践事例 組織で回すPDCAサイクル 2021年7月8日開催)についてご案内し、本セミナーは閉会しました。

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