イベント・セミナー

2013年09月06日

Active Work Place研究会第3回開催!

8月29日(木)、Active Work Place研究会第3回を開催いたしました。

Active Work Place研究会第3回は、実践課題「自組織のアセスメント結果の発表」と、川上教授、島津准教授による、健康いきいき職場づくりを推進するための具体的ツール(手法)の紹介、さらにゲスト講師として一橋大学の守島基博教授をお招きし、経営学の視点から、職場機能の低下と再生を考えるという、盛りだくさんの内容でした。

冒頭、参加メンバー各社様より、職場アセスメントの結果の発表が行われました。アセスメントの種類は各社それぞれです。各メンバーからは、職業性ストレス簡易調査票、JMI健康調査、モラルサーベイ、従業員満足度(ES)調査などの実施結果が報告されました。一部の企業、組織では社員の方々がアセスメントに対して懐疑的であったり、否定的であったりするケースも見られるようです。アセスメントはそれ自体が目的ではなく、現状把握と実施後の施策の検討・展開、またそのBefore/Afterをチェックしてどのような効果があったのかを判断するために必要な客観的ツールです。アセスメントを実施する主旨を社員の方々によく理解してもらうこと、アセスメントがその組織にとって特別なものでない雰囲気を持つこと、また実施後に実施者側が何らかのアクション(施策等)を起こし、それが社員にきちんと伝わっていることなどが必要と言えるでしょう。また、アセスメントの種類は様々であっても、健康いきいき職場づくりのための職場資源を計ることはできるので、ぜひ今実施されているアセスメントをもう一度、ポジティブな視点から見直していただければと思います。

午後前半のパートは、健康いきいき職場づくりを推進するための具体的なツール2点が紹介されました。

まず島津准教授より、「Positive Action Checklist」が紹介されました。このチェックリストの前提として、平成14年度労働安全衛生総合研究費「職場環境等の改善を通じたメンタルヘルス対策に関する研究」によって開発された、職場環境改善のためのメンタルヘルスアクションチェックリストの活用があります。これは、ストレス診断の結果がうまく改善活動につながっていない職場に向け、改善策のヒントを与えるものです。このリスト(ヒント集)は、職場単位で行われる職場環境改善のグループ学習などにおいて、現場の従業員自らが改善策を検討するために役立てられてきました。このアイディアを活用し、現在東京大学と富士通FST社の産学共同研究によりACTIVE※という組織アセスメントツールに対応したポジティブ版のアクションチェックリストが開発されています。これは職場の問題点を探すためではなく、その職場で注目したい(高めたい)組織資源を発見し、その資源に対応した対策が一目でわかるリストです。Active Work Place研究会の参加メンバーの皆さんには、こうしたポジティブな視点で見るチェックリストを参考にしていただき、職場の良い点を活かす視点から施策を展開していただければと思います。

ACTIVEは現在開発段階にあるため、一般には公開されていません。

続いて、川上教授より、「HSEマネジメントコンピテンシー」が紹介されました。HSEとは、英国健康安全局(UK Health and Safety Executive)のことです。HSEではマネジメントスタンダードアプローチとして、企業の人事担当責任者、安全衛生管理責任者、組合長また職場の管理職などに向け、職場のストレス軽減のためのガイドラインを出しています。このマネジメントスタンダードを実行するのに必要な管理監督者の行動(能力)を示したのが、HSEマネジメントコンピテンシーです。コンピテンシーとしては、例えば「参加型アプローチ」「話しかけやすい、どこにいるのかわかる」「仕事について知識を持つ」など、19の項目が示されています。この19項目は、現在は第二段階として、4領域×3項目に整理され、これを測定するツールも公開されています。今回川上教授からは、この日本語版の開発成果と、健康いきいき職場づくりへの活かし方が紹介されました。日本語版開発の過程で、HSEマネジメントコンピテンシーは特に、部下の「ワーク・エンゲイジメント」、「職場の一体感」、「積極的な学習」など、健康いきいき職場を表す指標と高い相関を示すことがわかりました。つまりこれは、単にストレス軽減のための上司行動(能力)ではなく、ポジティブなメンタルヘルスを実現することにも活きるものでもあることがわかりました。さらに、この考え方と調査票を用いて、管理職教育を展開することができます。今後、従来の「ラインケア教育」に追加して、一次予防のための管理者教育が広まることが期待されます。

午後後半のパートはゲスト講師として一橋大学の守島基博教授をお招きして、経営学の視点から、職場機能の低下と再生を考える時間がもたれました。

守島教授からは、「企業競争力の原点としての“健康な”職場」と題してお話いただきました。「健康な職場」、とは言い換えると「機能する職場」のことです。メンタルヘルスの視点から「健康いきいき職場」というと、働く人のストレスの問題、個人に帰する問題と捉えられる方もまだまだいるかもしれませんが、組織の経営という視点から見ると、「職場」が果たす機能、役割は多いため、その職場が健康であることは経営にとっても重要であることが伝えられました。職場の基本的な機能としては、人材育成、協働、癒し、“仲間”としてのまとまり等があり、これらは従来、組織を経営していく上では欠かせない資源でした。しかし、現在様々な理由からこの機能が低下しています。守島教授はこれを「職場寒冷化」と呼び、経営の危機と捉えています。


守島教授による進行は講義形式ではなく、終始メンバーへの問いかけを重ね、全体で議論する時間となりました。なぜ、職場は寒冷化してしまったのか、どうしたら取り戻せるのか、また今後どのような職場が求められるのか、またどのように変えて行きたいのか。参加メンバーへの“問いかけ”とそこから生まれる議論は、実は「組織開発」の最初のステップそのものでした。そして、
3つに分かれたグループから出た目指したい職場像は、驚くほど異なるものでした。一つは「家族主義的職場」、一つは「個人主義的職場」そして「全体主義的職場」です。詳細をここでご紹介することができませんが、これだけ異なる目指したい職場像があることに、まず気付かなければならないでしょう。そして、各企業や組織が、自らにとって一番フィットする職場像、機能する健康な職場とは何かを明らかにすることが重要です。そこから、本質的な意味で、経営に資する「健康いきいき職場づくり」がスタートするのかもしれません。

Active Work Place研究会も3回を経て、やるべき多くのことが見えてきています。それぞれの組織の現状に合った活動ができるよう、フォーラムも応援して参ります。

次回、第4回は927日(金)です。

今回も実践課題として「自組織のGood Practiceを見つける」ことになっています。メンバーの皆さん、どうぞよろしくお願いいたします!

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