去る11月17日に、「組織ソリューション研究会」第3回が開催されました。本研究会は、これまで4期にわたり開催されてきましたが、今回は内容をリニューアルしました。具体的には、「健康いきいき職場づくり推進人財養成」を目指し、全6回で「いきいき」を職場で推進するにあたり身につけておきたいスキルをご案内していきます。
第3回である今回は、「ストレスチェックの活用」がテーマです。今回も、①講師によるテーマの概論紹介、②講師・コーディネーターによる解説、③参加者間のディスカッションという本研究会の流れで進められました。
今回テーマであるストレスチェックは、今年12月に施行される改正労働安全衛生法により、50名以上の事業所での実施が義務付けられます。では、ストレスチェックをより積極的に活用する方策はどのようなものか?この点について、ゲストコメンテーターであるJUKI株式会社の神山貴巳香様より同社の事例をご提供いただき、それを題材に「組織全体への活用に向けたアプローチ」を検討していきました。
同社でのストレスチェックは、2003年という比較的早い時期より行われています。しかし、導入当初はリストラをはじめ経営的にも厳しい時期で、そのような折に「医療的視点」(健康を害さないような予防支援)を行っても、現場には響かなかったと神山氏は語ります。そこで、「組織目的との整合」~全社員のパフォーマンスの維持・向上⇒保健職であるご自身の役割は会社方針・事業戦略に適う組織管理の向上支援~を意識するようになったそうです。
それにより、「不調職場の悪化防止」の視点から、「全社員の維持予防」に重点が変わります。そして、それを現場に浸透させるべく、ストレスチェック結果を社長報告、部門報告にスピーディに報告するのが同社の方式です。その際、組織対策は神山氏の所属する健康管理部門ではなく、現場である各事業部門で検討していくのも特徴的です。また、それを支援するためのポジティブ心理学研修も実施しています。今後は、この取り組みを法改正を機にグループ会社にも広めていきたいとのことでした。
その後、回答率向上の秘訣、不調職場へのアプローチ、ほかの職場への波及効果、研修の頻度など、非常に多岐にわたる質問が神山氏に対して出されました。また、そのあとの参加者も交えてのディスカッションでは、各組織の実情と、「よりポジティブに活用するために」の視点での質疑が交わされました。その中で、特に「ストレスチェック結果が全体施策へ反映がされているか見えない」「ストレスチェックの不調者と実際の面談対象者が一致しない」「職業性ストレス簡易調査票から何が言えるのかがわからない」「改善計画の立て方」「研修の効果」「トップの関与が大事」「福利厚生ではなく、会社としてやっているのが重要」など、実に様々な問題意識が提示され、それを自職場なりに改善するための方策の検討が行われました。
次回第4回は12月7日に、「社員を巻き込む~セルフケア研修の新しいカタチ~」と題して行われます。