
2012年12月17日、「健康いきいき職場づくりフォーラム」設立記念シンポジウムが、東京大学内伊藤謝恩ホールで開催され、企業組織の人事担当者・健康管理担当者、労働組合役員、EAP、コンサルティングファームなど、約450名のご参加をいただきました。
基調講演として、同フォーラムの発起人でもある川上 憲人氏(東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野 教授)より、「健康いきいき職場づくりとは何か~概念とその可能性~」をテーマに、フォーラム活動の社会的、理論的背景をお話いただきました。その中では、メンタルヘルス対策として、企業の経営方針、人事制度、企業風土などより広範な関与を得る「健康いきいき職場」を目指す活動が要請されていることを、理論的背景、国内外の動向の交え、ご紹介いただきました。
続いて、企業事例として株式会社デンソー・常務役員の都築 昇司氏より「一人ひとりの元気で会社を活性化」と題して講演いただきました。都築氏からは、働く社員の意識変化、グローバル化、情報化などの内外の環境要因の変化に対応すべく進めている、「元気プロジェクト」という、社長以下全社員がコミットする取り組みの概要について、実際の映像や画像を交えてご紹介いただきました。
パネルディスカッション「明日が楽しくなる職場づくりを目指して~多面的視点で検討する~」では、それぞれの立場からの問題提起がなされました。まず、土肥 誠太郎氏(三井化学株式会社統括産業医)より、個人・組織としての予防を行うことで、労働生産性向上とメンタルヘルスの融合を行うこと、そのための長期的な経営層からのコミットを得ることの大切さを産業医の観点から提起いただきました。
続いて、北居 明氏(大阪府立大学経済教授)からは、組織変革の方法として、「どこが誇りなのか」「何を忘れているのか」といった「価値を変える」ためのポジティブな問いかけを行うことで、組織の強みや可能性の発見を促すことができるという点を、理論と実際の事例を交えてご紹介いただきました。
曽山 哲人氏(株式会社サイバーエージェント取締役)からは、会社経営の観点で、メンタルヘルスと業績を結びつけるための方法論としては、①すべての施策は経営の成果から逆算する②対話の場をタテヨコに増やす③「びっくり」を減らすアンテナを立てることが重要であるとして、社員総会などでの表彰、懇親会支援、月イチ面談、コミュニケーション・カウンセリングなど、現在展開していの活動をご案内いただきました。
橋本 武士氏(アステラス労働組合中央執行委員長)からは、「ぬくもりのある職場づくり」のための各種施策として、認めるマメジメント、ソーシャルサポートキャンペーン、ワークライフバランス、職場サポーター復職サポート面談など、労使で進めている取り組みをご案内いただきました。
これらを受けて、コーディネーターの島津 明人氏(東京大学大学院医学系研究科精神保健分野准教授)から、「ヘルス/ノンヘルスセクター」「研究/実践」「経営/組合」の組み合わせを図るための各種ポイントについての問いかけがなされ、各パネリストからコメントをいただきました。
最後に、「健康いきいき職場づくりフォーラム活動内容のご紹介」として、公益財団法人日本生産性本部事務局より、フォーラムの活動趣旨、事業案内、会員制度、今後のセミナー(1月23日開催)が行われ、盛会のうちにシンポジウムを終了しました。