去る11月16日に、第3期Active Work Place研究会の第5回を開催しました。本研究会は、約1年間7回にわたる会合を通じ、「健康いきいき職場づくり」の最新理論を学習いただくと同時に、「いきいき職場」実現への、各社での具体的な行動計画策定・その実践を行うことを目的にしております。今回は、これまでの回で学習した理論や好事例、自組織の資源や強みを活用した、「健康いきいき職場づくり」に向けての具体的な行動計画を参加組織より発表いただき、川上憲人氏(東京大学大学院教授)・島津明人氏(東京大学大学院准教授)、参加者間で相互アドバイスを行いました。
「健康いきいき職場づくりの行動計画」とは・・・
⇒最終的にたどり着きたいありたい姿を「長期目標」とし、それを実現するための「短期目標」があり、それをさらに具体的な「実施計画」、実施後の評価を行うための「評価計画」に関連付けて設定し、それを個別の「対象部署」「担当者」「実施時期」などにそれぞれ落とし込み、「実現できる」形に落とし込んだ行動計画シート。
(1)A社の行動計画
長期目標=「働く社員がより良い人生を送れるよう日々の健康づくりを支援すると共に、心も身体も健康で明るくいきいきと働ける職場環境を提供していく」
短期目標=①「事業所の雰囲気の改善」②「職場の垣根を越えたコミュニケーション」③「会話の弾む職場」④「健康文化づくりの推進」
実施計画=①推進委員会での「あいさつ運動の実施」「職場改善度アンケート実施」、②にぎWAにづくり分科会での「工場長と語る会」「家族見学会」実施、③いきいき環境づくり分科会での「ほめほめ隊」実施、「職場ワークショップ実施」、④「心とからだの健康づくり計画策定」「メンタルヘルスセミナー実施」「運動セミナー実施」
⇒同社は事業所単位での取り組みを推進しており、社内に労使の推進委員会・分科会を組織し、そこを起点に活動を進めている。今回上がった行動計画には、他組織で既に実施しているものもあったため、その経験に基づくアドバイスや、アンケート内容の検討、イベントのネーミング、より具体的にアナウンスする方法などについての意見交換が行われた。
(2)B労組の行動計画
(A支部)
長期目標=①「健康いきいき職場づくり活動を経営活動の一環として管理監督者層と部下層のメンタルヘルスケア対策の「高い意識」と「自発的な行動」が定着し、結果として精神疾患者を出さない、いきいきとした職場風土づくりの土台が構築される」②「グッドサイクルの職場自治活動が定着・自走している」
短期目標=①「管理監督者にフォーカスして当事者としての意識改革・マネジメント力を強化する」、②「職場自治」活動の活性化
実施計画=①「職場活性化推進委員会中心の活動計画立案・展開」(ストレスチェック実施・センター長からの活動方針表明・セルフケア・ラインケア研修など)②「全職場での労使ミーティング実施・フィードバック」
(B支部)
長期目標=①「メンタルヘルス推進体制を整え、支社の一つの活動方針とし、継続的ないきいき職場づくりを行う」、②労組として、いきいき職場づくりの考え方や行動を浸透させる
短期目標=①-1「推進体制強化・各部署での計画策定」①-2「ストレスチェックの活用」②「支部の好事例展開と全支部としての方針決定」
実施計画=①-1「推進体制検討・支社長メッセージ・部署ごとの行動計画検討」など、①-2「ストレスチェックによる事例ヒアリング・行動計画策定との連携」、②「AWP研究会内容の労組内での共有、労組としての指針・行動計画議論」
⇒同労組は2つの支部からの参加を得ており、各支部で行動計画を策定した。そのため、支部の実情に応じて設定される内容も異なっているのが特徴。その中では、既存の労組の職場自治活動との連携や、管理者や支部全体への巻き込みを意識した計画が目立った。そのため、例えばストレスチェックのより広範な活用や、事業が厳しい事業所での声のすくいあげなど、職場全般に関わる意見交換が行われた。
(3)C病院の行動計画
長期目標=①「健康いきいき職場づくり実現のもと、病院目標達成に向けて職場が一体となって活動できる」②「健康いきいき職場活動が経営活動の一部として定着する」
短期目標=①「病院としての方向性明確化、必要性の理解、横展開、体制化」、②「精神サポート体制・ハラスメント対応の改善」
実施計画=①「AWPでの取り組みの活用-好事例(こうのとりPJT・表彰制度など)の横展開、中間管理者向け職場活性化PJT、個人-組織目標の連動」、②「セルフケア研修・産業カウンセラー面接、ハラスメント実態把握・対応」
⇒同院は経営目標の中に「職員が働きやすい職場」を盛り込んでおり、それを具現化することを目指している。一方で、「やらされ感」が強いため、「やったことが成果に結びつく」「楽しさの要素を盛り込む」感覚、表彰制度の活用による意見反映、多忙な中短時間でできる研修プログラム等についての意見交換が行われた。
(4)D社の行動計画
長期目標=①「健康いきいき職場づくり活動により、従業員のいきいき度、職場の一体感を高め、働きやすい職場を目指す」、②「いきいき職場づくり活動を社内外に広くアピールし、従業員の帰属意識の醸成及び優秀な人材確保につなげる」
短期目標=①「業務外の機会で職場内外で従業員が交流できる」、②「研修会やワークショップ開催後、全社掲示板、社内報、社外セミナー、リクルート活動などで活動内容を発表する」
実施計画=①「労使共催フェスタ開催」、②「職場ケア研修会、職場ドック、営業職ストレスマネジメント研修実施」
⇒同社は労使でのAWP参加だが、この参加メンバーを中心に、より広い参画を得られるフェスタの開催や、社内外への発信のため、学会での発表なども積極的に行うことを想定している。その活動に社内での拡がりを盛らせるための方法論についての意見交換が行われた。
行動計画策定で、あとはいよいよ実践フェーズに入ります。終了後、これからの実践に向けての決起集会も兼ね、懇親会が開催され、様々な話題が提供されました。次回は2月22日に、行動計画の中間振り返り回を、場所を変えて参加組織の職場見学会を兼ねた形で実施します。