Event & Seminar6月定例セミナー「サマリー、当日資料(会員限定)」公開しました

去る6月17日、東京大学医学部教室にて、健康いきいき職場づくりフォーラム定例セミナー「健康いきいき職場づくり 取り組み事例」が開催されました。当日は、株式会社サイボウズ副社長である山田理氏に、「サイボウズのしかける職場の一体感づくりとは」と題して、自社での取り組みについてのご報告をいただき、その後、守島基博氏(一橋大学大学院教授)のコーディネートのもと、川上憲人氏(東京大学大学院教授)、島津明人氏(東京大学大学院准教授)、そして会場の参加者とのディスカッションを行い、充実した内容となりました。

「制度は変えるのでなくニーズに応じて追加する」~人事制度の変遷~
最初に、山田氏よりサイボウズ社の人事制度の経緯が紹介されました。社員数の少なかった初期は個別評価を行い、徐々に目標管理・成果主義人事制度を導入しつつ、現在は働き方の多様化への対応や優秀な社員(特に女性)の確保を目し、本人の価値観や生活の状況に応じて選択可能な「PS制度」「DS制度」に移行していることが紹介されました。
PS制度はワークライフバランス型で、月間残業時間上限が月40時間、PS2はワーク重視で裁量労働制、DSはライフ重視で残業なしまたは短時間勤務にしているとのことでした。また、それをさらに充実させるべく、在宅勤務や最長6年の育児介護休暇導入と、休暇時の緊密なフォロー、一方でハードワークに対応した時間・場所に制限なく働くウルトラワーク(試験導入中)、自己啓発の一環として、退職後の復帰を可能にした「育「自分」休暇制度」など、制度をニーズに応じて追加している状況を紹介いただきました。
また、横のコミュニケーション充実のための会社公認のクラブ活動の支援や、「リラックスした雰囲気で仕事の話をする」ための活動支援としての「仕事Bar」、「職場に感動を!」と題して社内のイベントを感動的に表現する「人事部感動課」などなど、多様な活動を行いつつ、それを自社商品であるグループウェアで共有するという、「チームあるところサイボウズあり」を具現化する活動も説明されました。

「ソーシャルチームワーク」という方向性~人事施策の狙い~
これら制度の策定の軸としては、「合理性」(費用対効果):「メッセージ性」(社員へのメッセージ):「わびさび」(バランス)=6:3:1と表現されました。そして、これらの導入効果として、離職率の大幅な改善が挙げられました。
このような多様な制度導入の狙いについて、山田氏からは「永続的な成長を目指すためには、生産性の向上との連携が不可欠」であり、それを目的に制度設計していること、そのために人事部は「より多くの人がより成長し、より長く働ける環境を提供する」ことをミッションとしていると説明されました。
また、社会が安定性、同一性から変化、個性を重視するように変化する中で、「個」を重視するにはモチベーション向上が不可欠であることも強調されました。「やるべきこと」に共感し「すべきこと」を実行する仕事に、「やりたいこと」も加わった「ハッピーセット」ができればそれがベストであり、そのために「できることを増やし自立を促す⇒選択肢増加⇒主体性向上⇒モチベーション向上」を実現すべく、会社として人材育成と選択肢増加でモチベーション向上を目指すための支援を行っていることも紹介いただきました。この背景には、「いきいき」(=主体的な選択+必要とされていること)と、ワクワク(=理想+安心感)が大事であるとも表現されました。
さらに、若手層にとどまらず、高齢者雇用に対応すべく独立支援制度の導入も検討しているとのことでした。これらを通じて、これからの会社像である「ソーシャルチームワーク」、場所や働き方が自由な、「適度な距離感のチーム」の実現を目指すとして、講演を締めくくっていただきました。

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