Event & Seminar1/23特別セミナー「サマリー、当日資料(会員限定)」公開しました

去る1月23日、特別セミナー「職場のメンタルヘルスの新しい枠組みの提唱」が、AP東京八重洲通りにて開催され、企業組織の人事担当者・健康管理担当者、労働組合役員、社労士、EAP、コンサルティングファームなど、約80名のご参加をいただきました。

 まず、精神保健学の観点からの講演として、同フォーラムの発起人でもある川上 憲人氏(東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野 教授)より、「組織のノンヘルスセクター要因と健康いきいき職場づくり」をテーマに、従来の健康管理部門以外のセクター=ノンヘルスセクター(経営、人事など)が、メンタルヘルス対応を超えて、組織全体のいきいき度合を上げていくことの今日的意義についてお話いただきました。その中では、企業の経営方針、人事制度、企業風土などより広範な関与を得る「健康いきいき職場」の理論的背景や、取り組みのための方法論、可能性などを国内外の動向や研究・実践事例を交え、ご紹介いただきました。

 続いて、経営学の観点からの講演として、同フォーラムの共同研究者である守島 基博氏(一橋大学大学院商学研究科 教授)より、「競争力の原点としての“健康な”職場」と題して、“健康な”=機能する職場・現場の重要性についてお話しいただきました。その中で、企業経営において職場・現場が担う機能や、その機能低下の状況・背景、再構築の重要性について、「職場寒冷化」「組織開発」「健康な職場」などをキーワードとしてご提示いただきました。

企業現場での取り組み状況の事例紹介として、JUKI株式会社人事部人事グループチーフの神山貴巳香氏より、「健康でいきいきした職場づくり 心の健康診断を組織管理へ」と題して、社内での各種取組の経緯、方法、課題などをご紹介いただきました。そこでは、メンタルヘルス施策について、当初は福利厚生として、次に危機管理の一環として、そして現在は全社生産性向上のための組織対策(人事労務施策)として取り組むようになった経緯や、その中での視点の変化(医療者的視点から全社員のパフォーマンス向上へ)、対象の変化(一部の不調部門から全社員へ)、現在の取り組み(フィードバックと施策展開方法やポジティブ心理学研修など)をお話しいただきました。

そのあとのセッションは、会場からの質問票を基に、川上・守島両氏による対談「職場の元気を取り戻す~精神保健学×経営学の可能性」を行いました。その中で、川上氏からは、現在の健康管理体制が産業医を中心にブラックボックス化しているという状況や、「ノンヘルスセクター」に着目する意義(測定可能、方法論の提供、経営との連携)、いきいき職場の好事例とその背景(トップのメッセージ、組織文化の改善など)を提示いただきました。

一方、守島氏からは、経営/人事/現場/健康管理/労組で情報が分断されている状況の打開、フォロワー育成の重要性、人事サイドがイニシアティブを取って健康施策などを展開することの大切さが提起されました。また、「職場寒冷化」の改善のための方策は?という川上氏からの問いには、「トップ層にサポーターを得る」「各種数値情報を集め、経営サイドに伝える」「よい事象を紹介していく」など、「戦略的な健康管理」を行うことが大切、というコメントをいただきました。あわせて、組織開発の具体策として、「全員参加によるボトムアップ」「育成文化の共有」「いい芽を大切に育てる」のがポイント、とご案内いただきました。

 最後に、「健康いきいき職場づくりフォーラム活動内容のご紹介」として、公益財団法人日本生産性本部事務局より、フォーラムの活動趣旨、事業案内、会員制度紹介などが行われ、盛会のうちにセミナーを終了しました。

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